被相続人の債務と相続人の責任

相続人は相続によって財産を引き継ぎますが、同時に債務も引き継がれることになります。このため、相続人は被相続人の債務にも責任を負うことになります。本記事では、被相続人の債務を引き継いだ相続人の責任について解説していきます。

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目次

1. 債務の承継

借金のような可分債務は、相続開始と同時に相続分に応じて当然に分割されます。また、自動車の引渡す債務のような不可分債務は、相続人全員に不可分的に帰属します。なお、被相続人が連帯債務者であった場合は、各相続人が債務を承継し、その範囲で本来の連帯債務者(被相続人以外の連帯債務者)とともに連帯債務を負うことになります。

以上が原則ですが、相続人間で法定相続分とは異なる割合で、債務の負担者又は負担割合を決めることも可能です。

例えば、特定の相続人が他の相続人より優先的に相続財産を承継する場合に、当該相続人が債務をすべて承継する場合などが典型的です。

もっとも、相続人間で債務の負担を法定相続分と異なる割合で合意したとしても、債権者の承諾を得ない限り、債権者に対抗できません。

2. 相続によって引き継がれる債務

被相続人が残した債務は、原則として全て相続人に引き継がれます。例えば、以下のようなものがあります。

①借金・・・銀行や消費者金融からの借入、カード未支払い分等。

②保証債務・・・被相続人が保証人の場合、原則的には相続の対象になり、相続人が保証人の地位を引き継ぎます。ただし、身元保証人の地位は相続の対象になりません。

③税金や保険料・・・未支払いの税金や保険料は、相続の対象になります。

④医療費・・・被相続人が亡くなる直前に入院していた場合、未支払いの医療費は相続の対象になります。

⑤介護費用・・・被相続人が介護施設に入所していた場合、未支払いの介護費用は相続の対象になります。

3. まとめ

被相続人の債務は、相続人に引き継がれることになりますが、保証債務など、後になって判明する債務もあるかと思います。相続開始から3ヶ月が経過していて、相続放棄ができるかどうか分からない場合や、判断に迷った場合は、弁護士や司法書士等の専門家に相談することをお勧めします。

4. FAQ

Q1 相続財産が債務超過の場合、相続人はどうなりますか?               

・相続財産が債務超過の場合であっても、相続放棄や限定承認をした場合を除き、相続人が債務の支払いをしなければなりません。

Q2 相続人が支払った債務は、後で他の相続人から請求されることはありますか?

・相続人の1人が債務を全額支払った場合、相続分に応じて、他の相続人に対して求償権を行使することができます。(例)相続人がABCの3人(相続分は同じ)で相続債務が3000万円であった。Aさんが3000万円全額を債権者に支払った場合、AさんはBさんCさんにそれぞれ1000万円ずつ自己への弁済を求めることができます。

Q3 相続人が借金の存在を知らなかった場合、責任を負うことになりますか?

・相続人が借金の存在を知らなかった場合でも、被相続人の債務は相続人に引き継がれますので、原則的に責任を負うことになります。ですが、この場合、3ヶ月経過後であっても、相続放棄ができる可能性がありますので、早めに専門家に相談することをお勧めします。

Q4 相続財産から債務を支払った場合、その分は相続税の対象になりますか?

・相続税の計算は、プラスの財産から債務等のマイナスの財産を差し引いて計算します。これを債務控除といい、相続財産から債務を支払った場合、原則的に債務控除の対象になります。

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